衣服の中にテクノロジー、これぞ真の「ウェアラブル」

動作中のリーバイス「Project Jacquard」
情報元: theinspirationroom.com

地球上のほとんど全てと言ってもいい人々が高性能なコンピューターをポケットに入れて持ち歩いている、そんな状況にまだ甘んじている人もいる。かつては利用者が重たい「レンガ」を持ち歩かなければならないために物笑いの種だった携帯電話技術も、信じられないほどのスピードで飛躍を遂げた。今では携帯できる高性能コンピューターなど当たり前になっているが、これは驚くべきことだ。私たちは自分のEメールをどこからでも利用できるし、手のひらの上でオンラインカジノもプレイできる。クレジットカードよりもちょっと大きいくらいのスマートフォン上でWebサイトを閲覧することも可能だ。

これ以上どこまで進歩できるのかと、誰もが疑問に思っている。そしてその答えは明確だ。すなわち、テクノロジーをポケットに入れて持ち運ぶ代わりに、単純に着てしまえばいいのではないか? 「でもウェアラブル技術はすでに存在しているんじゃないの?  スマートウォッチという形で」という声が聞こえてきそうだ。いや、いま話しているのは自分の着ている衣服自体に埋め込まれたテクノロジーに関することである。本に書かれていたSFの未来がまさに現実になろうとしている。もしもあなたが携帯コンピューターに感動を覚えていたのであれば、まもなく着用できるかもしれないモノにもちょっと目を向けてみてはいかがだろう。

はっ水衣服

コンピューターの内蔵された衣服を取り上げる前に、まずは新しいはっ水技術を採用している衣服について触れておこう。防水ジャケットと聞けば「それは全く珍しいものじゃない、数世紀前からレインコートはあるじゃないか・・・」と思われるかもしれない。いや、これから取り上げるのは驚いてアゴが外れるような形で表面の水を文字通り押しのけるジャケットだ。「Apex Flex GTX」はどんな水でも一切通すことなく、表面で止めるジャケットだ。その生地は一滴の水さえ付いていない状態を常に保ってくれる。

その秘密はゴアテックス (少しばかり大げさな名前かもしれない) として知られる防水コーティングにあるのだが、これが本当に素晴らしいことを実現できている。柔軟な超防水素材をあらゆる表面に使用するということはつまり、何があっても表面が乾いた状態に保たれるということだ。では、そのデメリットとは? もちろん価格だ。「Apex Flex GTX」は安くない。とは言え、あらゆる新興技術と同様に、主流になっていくにつれて需要増加による低価格化が起こるかもしれない。

 スマート衣服

ではここでいよいよ、スマートフォンに同期して、ユーザーがジェスチャーでスマートフォンの機能をコントロール可能になるジャケットを見ていこう。「Google x リーバイス『Project Jacquard』」と銘打たれたこの服には複数本のスマート繊維が縫い込まれているという話だ。スマート繊維が何なのかは誰にもわからないものの、ともかくユーザーは腕のジェスチャーによって同期したスマートフォンを操作できるようになる。例えば、スマートフォンで再生中の音楽を一時停止するには、ただジャケットの袖口を軽くタップするだけでいい。

こう聞くとカッコよさそうではあるが、「システムがかなりややこしいものになるのでは? 」と思えてならない人もいるだろう。結局のところ、スマートジャケットに意図した動きと意図していない動きとの違いが見分けられないであろうことは間違いない。これを防止するための対策が当然あると仮定する人もいるが、ジャケットが普及し始める時にもそれは未解決のままだろう。とはいえ、デニムジャケットが約3万8000円するのだから、果たして普及はするのだろうか?

アパレルへの高度な探求

では今度は本当に変わったモノを取り上げてみよう。衣服を高品質にするものは何だろうか? 適切な生地? しっかりとした縫い目? 質の高い手仕事? いや、違う。衣服を高品質にするものとは、その衣服を決して壊れない一本の繊維から作ることだ。待て、なんだって? なぜ?

アディダスはとても複雑そうなプロセスにより、一本の繊維から衣服を織り上げるシステムを開発した。そして、アディダスはこのシステムに大きなプライドを持っていて、そのプロセスが機能する様子を進んで詳しく説明しようとする。だが、それが何らかの役に立つ理由を説明する時にはそれほど反応がよくない。

どちらにせよ、現在、この技術は存在している。一方、この方法で作られた衣服を見ても、そこまで大騒ぎする理由が分からない人もいる。「AAE 1.0」と呼ばれるこの衣服はTシャツにとてもよく似ている。いや、それ以上でも以下でもない。

ナノテクノロジー

これまでの話は今まさに存在している技術をざっくりと見てきただけだ。だが今後、このような技術が行き着くかもしれない先はどこか? そう、ナノテクノロジーだ。この言葉が多くのSF作品で登場していることを考えれば、聞いたことのある人もおそらくいるはずだ。しかし、ナノテクノロジーはもはやSFではなく、私たちが着る衣服にもやがて姿を見せることだろう。

一体それは何なのか? 分子レベルでの工学、そう聞くと気が遠のきそうな気分になるかもしれない。柔軟なのに鋼鉄ほど頑丈な生地を空想するだろうか? あるいは透明で柔らかい防弾素材だろうか? ナノテクノロジーがあれば、理論上は可能だ。現在は初期段階だが、実在する企業のNanotexはこのような素材を実現するために尽力している。やはり衣服の未来は、探求する気構えをもっておくべき分野と言える。

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